インボイスによる賃貸への影響①-3
2023年12月16日
インボイスによる賃貸への影響①-3
社長の小宮です。
弊社では賃貸物件の管理を主に取り扱っています。
今回は、前回(インボイスの影響)の続きです。
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前回は「賃貸住宅と賃貸ビルのインボイスの影響」を簡単にご説明しました。
今回は、「駐車場に関するインボイスへの影響」についてお話ししていきます。
はじめに
個人的には今回のインボイスの肝はココにあると思っています。
駐車場関係者への影響は甚大でしょう。
理由は、適格請求書発行事業者登録をしない地主さんが多いからです。
月極駐車場
月極駐車場の貸主さんへの影響
月極駐車場は、所有の土地で小規模に駐車場運営をされているような貸主さんの割合の方が多いように感じます。
そんな小規模の地主さんは実際には消費税を申告していない非課税業者ですが、今までは募集賃料や契約賃料に(税込)と表示してたりする事が多かったんですね。
つまり、
借主さん → 駐車場の消費税も仕入税額控除に入れて計算
貸主さん → 申告なし
みたいな状態だった訳ですが、金額も少額なので問題はありませんでした。
しかし、インボイス制度後は、そんな訳には行きません。
貸主さんは、
税込表示を継続するなら → 適格請求書発行事業者登録し、消費税を申告する
事業者登録をしないなら → 消費税表記や税込表記はしない
といった変更が必要です。
ちなみに貸主さんが適格請求書発行事業者登録をしないと、これまで仕入税額控除をしていた法人借主さんは控除が出来なくなります。
これは、賃料据え置きの場合なら借主さん目線で言えば実質、値上げといえる状況です。
その為、借主法人様から消費税分の値下げや、最悪の場合は解約の申し出が入る可能性までもあるのです。
値下げや解約・・・
これは貸主さんにとって、大きな影響ですよね。
月極駐車場の借主さんへの影響
個人名義の借主さんは、あまり影響はないでしょう。
問題は法人名義の借主さんの場合。
法人さんならば、基本的に駐車場はこれまで消費税対象として仕入税額控除の計算に入れていた事でしょう。
その為、インボイス後は貸主さんに対して登録状況や登録番号の確認が必要になります。
貸主さんがインボイス事業者ならば、登録番号の確認くらいで問題はありません。
しかし、貸主さんが登録するつもりがない場合。これが問題。
借主さんの取れる対応は2通り。
❶ 控除できなくなった分の値下げ要求 → 貸主目線で実質、値下げ
❷ 消費税分の仕入税額控除を諦める → 借主目線で実質、値上げ
契約台数が少なければ、控除できなくなる額も少ないのであまり影響はないですが、たくさんの区画を借りていたり、一括借りの場合はそうは行きません。
貸主さんに値下げの相談や、インボイス対応している他駐車場への借り替えも検討する必要があるかもしれません。
月極駐車場の管理会社への影響
契約書類の変更、貸主の代理として借主さんへの対応、などなど
事前準備にかなりの労力が必要でした。
また、借主・貸主の賃料交渉の仲介も必要な場合があり、正直、
なんやねん、インボイス!(# ゚Д゚)
と愚痴ってました。
(まとめ)
貸主のインボイス登録の有無により契約内容の大幅な見直しも必要な場合がある。
契約業務、事務作業と、かなり大変でした。
コインパーキング
コインパーキング運営会社への影響
コインパーキングも大きな影響が出たうちの1つです。
(土地一括借り上げの場合の影響)
運営会社が地主から土地を一括で借り上げて運営している場合。
地主さんがインボイス登録をしていないと、月極駐車場の法人借主さんと同じような仕入税額控除の問題が発生します。
実質値上げとなる状況ですので、何らかの対応は必要でしょう。
(精算機器に関する影響)
コインパーキング利用者に発行していた領収証に、登録番号や税率、税額などの表記をする必要が新たに発生しました。
領収証印字の変更や追記の機能がない精算機の場合は、印字プリンターの交換や、最悪の場合は精算機の交換も必要です。
精算機は高額な設備ですので、これは大きな痛手です。
近日中に導入予定の新紙幣への対応と併せて頭の痛い問題ですね。
ちなみに
弊社の扱っている精算機は印字内容を自分で変更できるタイプのものだったので助かりました。
しかし、新紙幣はどうしましょう・・・
はい。今日のところはここまで。
今回もお読みいただいてありがとうございました。
次はまた違った話題についての記事にする予定です。
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